2009年8月3日月曜日

最初の一歩


私がこの地に銘木業を開業して
早や35年以上を過ぎようとしています。
今振り返ってみるとあっと思う位の出来事のように感じます。

私が27歳で独立を決心した時は、
何の自信があったわけでもなく、
また大金があったわけでもなく、
自分が働いて得た給料を貯めたお金
約60万円がその時の資本金でした。

地元農家の田村さんの紹介で
宇佐美さんの屋敷の一部の土地を借り、
そこに12坪の店舗を建てました。


建てると言っても大工さんにお願いする資金もなく、
自分で材木を買ってきて経験もないのに
コツコツと一人で始めました。

トタンを買って来て屋根と外回りを貼り、
そして建具を買って来て取り付け、
約3ヶ月をかけて完成しました。

そしてその費用は約40万円となりました。
残り20万円が運転資金となり心細い出発でしたが、
これが俺の店だと思うと少し恥ずかしいような嬉しいような
そんな気持ちが、心の中をくすぐるのを覚えました。

開業をしても商品を全て買い揃えることは出来るわけもなく、
ほとんどの商品は借り物で、販売をしたものに対して
お金を支払うという形でお願いをしました。
本当に多くの方々の力添えのおかげと感謝感謝でした。


冒頭の写真のこの丸太、これは父親が私に対して
少しでも店の中を賑やかにしてやろうと思う気持ちで
自分の山から切り出して作って頂いた最後の1本です。

そして私はその父親と同じ年齢を迎えるにあたって感無量、
私の大切な戒めであり、宝物としていつまでも店に飾っておきたいと思います。

この思い出の多い建物も私がこの地に移転してからも
二代に渡って利用され、今年の6月に解体されることになりました。

35年以上の長きに渡り利用させていただいた建物の
一本一本の柱にお礼の気持ちを込めて、
有難う有難うと清酒をかけました。

解体する現場はとても見ることは出来ませんでした。
解体後に整地された跡地を見てみると、
ほんの小さな手のひらにでも乗るくらいの12坪でした。